印刷物のこと

カラー印刷の版ズレ。

みなさんこんにちは。
たまにはちょっと印刷的なことも。

数十年前と比べて、カラー印刷はもはやみなさんも身近なものとなっているかと思います。
そんなカラー印刷においての、色のイメージ。
イメージしていたものと違う。
画面で見るのと違う。
自分でプリントしたものと違う。
そんなシーンを思い出される方もいらっしゃるでしょう。

こんな時の色の違いについては過去のブログもご参照ください。
https://threebrain.co.jp/2023/02/19/印刷物製作時の色の違い。/

今日はそんな正当な理由の色違いではなく、いわゆる印刷ミスの一つでもある「版ズレ」について。
カラー印刷というのは、一般的にCMYKと言って、
シアン(青)マゼンダ(赤)イエロー(黄)キートーン(黒)で表現されます。
(BlackのKではなく、印刷色調を表す「キートーン(Key tone)」
でも、あまりキートンというのは馴染みのない表現なので、ここでは「黒」とします。


そして、この4つのインクを表現する、点の集まり方、重なり方によってカラーが表現されていきます。

そこで、きちんと色を表現するために重要なことは、印刷時にそれぞれのカラー毎に版(プレート)を作りそれを重なり合わせて印刷して行くので、
その際にきちんと正確にズレもなく重なり合わせて印刷することが必須です。

もし、そこで1版でもずれるようなことがあれば、その色に該当する絵柄が写真、色味がぼやけてしまったり、暗くなったりしてしまいます。
いわゆる色が悪いというのは、元々のカラー指定の相違もあるかと思いますが、このように版が印刷時にズレることで、仕上がりに影響が出てしまいます。
この版ズレは、印刷現場では「見当ズレ」とも言われる場合があります。
写真や絵柄だけではなく、細かい文字のエッジがぼやけて読みづらくなるので問題です。

この版ズレがおきる原因としては、版の位置ズレはもちろん、版の露光不良、気温や湿度の影響、用紙の伸び縮みなど、さまざまな原因が考えられます。
写真がたくさんある、ベタ印刷が多いなど、インクの量が増えるほど印刷時の調整は難しくなり版ズレがおきやすくなります。
そのように考えられる原因を事前に考慮しながら、トンボなどで位置確認をよく行ってから印刷する必要があります。
また、色校正を事前に行い、それに色味を合わせる作業を行えば、版ズレしていないかは発見可能です。

特に、初版ではなく増刷時に前回と色が違う。
ロゴの色がおかしい。
そんな時は、版ズレしていないか確認してみるといいかもしれません。
発見方法はひたすらルーペで覗き込む!
そんな地道な作業ですが、、、

参考に実際の写真を見てもらうとわかりやすいかもしれません。
左が版ズレしていないもの、右が版ズレを起こしているものです。

本来ないはずの黄色で縁取りされてしまってますね。
ということは上部だけではなく、黄色の版全体がずれていることになるので、
黄色が影響している絵柄については、本来の色指定通りの表現がされていないことになります。

ぼやけてしまうというより、シャープさがなくなるので、若干暗く見えがちになります。
これはほんの1ミリにも見たないズレなのですが、特に写真などの影響は大きくなります。

印刷工場でも気をつけて作業をしているものの、
やはり手作業、人の感覚(チェックなど)にも影響するので、
常に100%の仕上がりとは言い切れない部分もあるので、
特に色味にこだわる印刷物に関しては、きちんと事前に色校正して、
その色校正に合わせて色を整えていきながら、印刷機を回してもらうことが、
このような事故を防ぐことになります。

お客様からのご支給の写真画像の画質の悪さは別ですのでご注意ください。

こんな版ズレが起きた時は、本当にお客さまには申し訳ないです。

さあ、どうしよう…..

 

岩佐でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

関連記事

TOP